院長ブログ

難症例白内障

2022年12月11日

今まで多くの白内障をして来ました。多くの難症例も手術をさせていただきました。

今、私を眼科医として育ててくれた地域へのわずかばかりの恩返しの意味で、月に3日ほど地域の病院で手術をさせていただいています。

それぞれの病院やクリニックは白内障や硝子体手術のできる医師がおられる基幹病院もあり、そのため私が担当する患者様は、その先生達が難しいと判断し、私が来る時に手術をする様に集めておいてくださった患者様がほとんどなので、難症例が多くなります。

難症例と言っても色々意味があります。

眼的に難症例であったり、身体的な条件(唯一眼、95歳以上の高齢者や亀背の強い方、認知症や他の身体的疾患など)や、社会的条件(例えば、医師や政治家や芸術家など)により、難症例とされるものが多いです。

今まで、3万件近くの白内障をさせていただきました。しかし、今だに初めての疾患に出会います。

先日も、シスチノーシスというシスチンが全身に蓄積する日本人には稀な病気の方の白内障手術を初めて経験しました。

角膜にシスチンが蓄積し、角膜の透明性がなくなり、磨りガラスのようになるため、手術が難しくなると言われています。この方もそうでした。無事手術も終わり、いつもと変わらず手術できました。

見学していた若い先生たちから、なんでこの様な難しい患者でも、いつもと変わりなく淡々と手術ができるのですか?怖くないのですか?と聞かれましたが、手術を始める前は流石に色々考えてしまいますが、一旦始まってしまうと何も感じなくなります。

恐らく、今まで多くの患者様が私を信頼して手術を受けてくださったお陰で、この様な自分がいるのだろうと若い先生に話しました。

医療はある意味バトンを繋ぐリレーと同じだと思います。過去に触れ合った患者様からいただいた、情報や経験を次の方に活かし渡すことが、手術を受けてくださった方や今から手術を受けてくれる方へのリスペクトではないかなと思っています。

若い先生は、技術的な話を聞きたかったのかもしれませんが、これが大事な事だと思っています。

先生達にこの気持ちが伝わっていたら良いのですが。そして、いつの日か同じ気持ちを味わってくれたらと願います。

編著 さいたま市のくらかず眼科 院長 倉員敏明

倉員 敏明 院長の独自取材記事

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