白内障手術のよくある初期症状
白内障手術のよくある初期症状

白内障は、目の中でレンズの役割を果たす「水晶体」が濁ることで起こる病気です。
進行はゆるやかなため、初期の段階では「年齢のせいかもしれない」と見過ごされてしまうことが少なくありません。
しかし、早い段階で気づき、適切に対応することで、生活の質を保ちながら治療の選択肢を広げることができます。ここでは、白内障の代表的な初期症状について、起こる仕組みと受診の目安、治療の選択肢をご説明します。
目がかすむ、ぼやける
原因・メカニズム
水晶体が濁ると、目に入ってきた光がまっすぐ網膜に届かず、途中で散ってしまいます。その結果、世界全体に薄い膜がかかったように見えたり、輪郭がぼんやりとにじんで感じられたりします。白内障の中でも最も多く、そして最初に自覚されやすい症状のひとつです。かすみは目をこすっても改善せず、まばたきをしても晴れないことが特徴です。
受診の目安
かすみが数週間以上続く場合や、以前よりも文字が読みにくい、テレビの字幕が見えにくいと感じる場合には、一度眼科での検査をおすすめします。かすみの原因は白内障とは限らず、緑内障や網膜の病気など、ほかの疾患が隠れていることもあります。自己判断で様子を見続けるのではなく、原因を正しく見極めることが大切です。
治療の選択肢
初期の段階では、点眼薬によって進行をゆるやかにする方法を選ぶこともあります。ただし、点眼薬は濁った水晶体を元に戻すものではありません。日常生活に支障が出てきた場合には、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズに置き換える手術が根本的な治療となります。当院では、患者さまのライフスタイルや見え方のご希望をうかがいながら、最適な治療方針をご提案しています。
光を眩しく感じる
原因・メカニズム
水晶体の濁りによって、目に入った光が散乱することで、本来であれば気にならない明るさでも強い眩しさとして感じられるようになります。とくに次のような場面で眩しさを強く自覚される方が多くいらっしゃいます。
対向車のヘッドライトがまぶしく、夜間の運転が怖く感じる
日中の太陽光や水面の照り返しがつらい
ほかの初期症状とあわせて色の変化を感じる
対向車のヘッドライトがまぶしく、夜間の運転が怖く感じる
日中の太陽光や水面の照り返しがつらい
店内や室内の照明が以前よりまぶしく感じる
濁りの位置や程度によって眩しさの感じ方は変わります。
受診の目安
これまで気にならなかった眩しさが急に強くなった場合や、眩しさのために運転や外出をためらうようになった場合は、受診を検討してください。眩しさは生活の安全に直接関わる症状でもあります。とくに車を運転される方は、見えにくさを我慢して運転を続けることが思わぬ事故につながりかねませんので、早めにご相談いただくことをおすすめします。
治療の選択肢
眩しさが軽度であれば、サングラスや帽子などで光をやわらげる工夫が役立つ場合もあります。ただし、白内障による眩しさは進行とともに強まっていくことが一般的です。日常生活に支障をきたすようになった場合には、手術によって濁った水晶体を取り除くことで、眩しさの改善が期待できます。当院では、眩しさの感じ方に配慮した眼内レンズの選択についてもご相談を承っています
視力が低下する
原因・メカニズム
水晶体は、目に入った光を屈折させて網膜にピントを合わせる重要な役割を担っています。白内障によって水晶体が濁ると、光が十分に届かなくなり、ピントも合いにくくなるため、視力が少しずつ低下していきます。多くの場合、痛みをともなわずゆっくりと進むため、低下に気づきにくいことが特徴です。
受診の目安
眼鏡をかけても以前ほど見えない、視力検査の結果が以前より下がっていると指摘された場合には、白内障が進んでいる可能性があります。また、片方の目だけ見えにくい場合は、両目で見ているために気づきにくいことがありますので、ときどき片目ずつ見え方を確認してみることをおすすめします。気になる変化があれば早めにご相談ください。
治療の選択肢
視力の低下が軽度であれば、眼鏡の度数を調整して対応できる時期もあります。しかし、濁りが進むと眼鏡では矯正しきれなくなり、生活に不便を感じるようになります。その段階では、手術によって視力の回復が期待できます。手術の前には、目の長さを測定する眼軸長検査などを行い、患者さまに合った眼内レンズの度数を慎重に計算します。どのタイミングで手術を受けるかは、見え方の状態とご本人の生活への影響を総合的に判断して決めていきます。
物が二重、三重に見える(単眼複視)
原因・メカニズム
片目で見たときに、物が二重や三重に重なって見える状態を単眼複視といいます。これは、水晶体の濁り方が均一でないために、目に入った光が複数の方向に屈折してしまうことで起こります。両目で見ても片目で見ても二重に見える場合や、片目を隠しても症状が残る場合に、白内障が原因として考えられます。
受診の目安
物が二重に見える状態が続く場合は、白内障のほかにも乱視や、まれに脳の病気が関係していることもあります。とくに、突然二重に見えるようになった、頭痛やめまいをともなうといった場合は、早急に医療機関を受診してください。片目を隠したときに二重が消えるかどうかは、原因を見極めるうえで大切な手がかりになりますので、受診の際にお伝えいただけると診察がスムーズです。
治療の選択肢
白内障による単眼複視は、眼鏡で矯正することが難しいことが多く、根本的な改善には手術が必要となります。濁った水晶体を取り除き、眼内レンズに置き換えることで、二重に見える症状の改善が期待できます。当院では、複視の原因が白内障によるものかどうかを丁寧に検査したうえで、適切な治療方針をご提案しています。
暗いところで見えにくい
原因・メカニズム
水晶体が濁ると、わずかな光が散乱してしまい、暗い場所では網膜に届く光がさらに不足します。そのため、明るい場所では問題なく見えても、夕方や夜間、照明の少ない室内などで急に見えにくくなることがあります。とくに、明るい場所から暗い場所へ移ったときに目が慣れにくいと感じる方が多くいらっしゃいます。
受診の目安
夜間の運転がしづらくなった、暗い場所で段差につまずきやすくなったといった変化がある場合には、受診をおすすめします。暗い場所での見えにくさは、白内障のほかに網膜の病気が関わっていることもあります。転倒やけがにつながる前に、見えにくさの原因を確認しておくことが安心につながります。気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。
治療の選択肢
暗い場所での見えにくさが軽い段階では、室内の照明を明るくするなど、生活環境を整える工夫で対応できることもあります。ただし、白内障の進行とともに見えにくさは強まっていきます。生活に支障をきたすようになった場合には、手術によって見え方の改善が期待できます。当院では、夜間や暗い場所での見え方についてもおうかがいしながら、治療をご提案しています。
色がくすんで見える、黄色っぽく見える
原因・メカニズム
加齢にともなって進む白内障では、水晶体が黄色や茶色みを帯びて濁っていくことがあります。すると、青や白がくすんで見えたり、全体が黄色がかって見えたりするようになります。変化がゆっくり進むため、ご本人は気づきにくく、手術を受けたあとに「こんなに色が鮮やかだったのか」と驚かれる方も少なくありません。
受診の目安
色の見え方の変化は自覚しにくいため、はっきりとした受診の目安を持ちにくい症状です。次のような変化に気づいたときには、一度検査を受けてみることをおすすめします。
白い壁や洗濯物の白さが黄ばんで見える
青色がくすんで見分けにくい
ほかの初期症状とあわせて色の変化を感じる
白い壁や洗濯物の白さが黄ばんで見える
青色がくすんで見分けにくい
ほかの初期症状とあわせて色の変化を感じる
とくに色を扱うお仕事をされている方は、早めの相談が役立ちます。
治療の選択肢
色の見え方の変化そのものを点眼薬で改善することはできません。色のくすみが気になり、生活や仕事に影響が出ている場合には、手術によって濁った水晶体を取り除くことで、本来の色彩を取り戻すことが期待できます。当院では、見え方の質を大切にしながら、患者さまに合った眼内レンズの選択についてもご相談を承っています。
眼鏡の度数が合わなくなる
原因・メカニズム
白内障が進むと、水晶体の濁り方や厚みが変化し、目の屈折力が変わっていきます。そのため、これまで合っていた眼鏡が急に合わなくなったり、作り直してもすぐに見えにくくなったりすることがあります。短期間に何度も眼鏡を作り替えているという場合には、その背景に白内障が隠れていることが考えられます。
受診の目安
眼鏡を新しく作っても見えにくい、作り替える間隔が以前より短くなったと感じる場合は、眼鏡店ではなく眼科での検査をおすすめします。度数が合わない原因が白内障による屈折の変化であれば、眼鏡を作り替えても根本的な解決にはつながりません。見えにくさの原因を正しく把握することが、適切な対応への第一歩となります。
治療の選択肢
屈折の変化が軽い段階では、度数を調整した眼鏡で対応できることもあります。しかし、白内障の進行による変化の場合、眼鏡での矯正には限界があります。生活に支障が出てきた場合には、手術によって視力の改善が期待でき、術後には眼鏡への依存を減らせる可能性もあります。当院では、術後の見え方のご希望もうかがいながら、治療方針をご提案しています。
最近、近くが見えやすくなる
原因・メカニズム
一見すると良い変化のように思える「近くが見えやすくなった」という現象も、白内障の初期症状のひとつであることがあります。水晶体の中心部分が濁って硬くなるタイプ(核白内障)では、屈折力が強まることで一時的に近視のような状態となり、老眼鏡なしで手元が見やすくなることがあります。しかし、これは目が良くなったわけではなく、白内障が進んでいるサインである場合があります。
受診の目安
老眼鏡が不要になった、急に手元が見やすくなったといった変化を喜ばしく感じる一方で、遠くが見えにくくなっていないかを確認することが大切です。こうした変化に気づいたときは、思いがけず白内障が進んでいる可能性がありますので、一度眼科で検査を受けてみることをおすすめします。良い変化に見えても、原因を確認しておくと安心です。
治療の選択肢
この段階では症状が軽いことも多く、すぐに治療が必要とは限りません。ただし、屈折の変化はその後さらに進んでいくことが一般的です。経過を見ながら、生活に支障が出てきた段階で手術を検討していくことになります。当院では、定期的な検査を通じて変化を見守りながら、適切なタイミングで治療をご提案しています。気になる変化があれば、まずはご相談ください。
白内障の初期症状は、いずれもゆるやかに進むため、ご自身では気づきにくいものです。「年齢のせい」と思っていた見えにくさが、実は白内障のサインであることも少なくありません。
くらかず眼科では、視力検査や眼圧測定、眼底検査などを通じて症状の原因を丁寧に見極めたうえで、患者さまの生活や将来を見据えた治療をご提案しています。気になる症状がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

このような方はご相談ください
このような方はご相談ください
白内障と言われたが、今すぐ手術が必要か迷っている
見えにくさはあるが、どの程度まで様子を見てよいのか分からない
運転や仕事への影響が気になってきた
家族が白内障手術を受け、自分も心配になっている
白内障と言われたが、今すぐ手術が必要か迷っている
見えにくさはあるが、どの程度まで様子を見てよいのか分からない
運転や仕事への影響が気になってきた
家族が白内障手術を受け、自分も心配になっている
他院で手術を勧められたが、不安が残っている
友達が白内障をしようとしたら老眼がなくなったと言っている。私もそうなるのかな?
目の病気があると言われ、単焦点レンズしか選択肢がないと言われたが?
他院で手術を勧められたが、不安が残っている
目の病気があると言われ、単焦点レンズしか選択肢がないと言われたが?
友達が白内障をしようとしたら老眼がなくなったと言っている。私もそうなるのかな?
よくある質問(Q&A)
- 白内障は治りますか?
-
点眼などで濁りを元に戻すことはできませんが、手術により見え方を改善することが可能です。
- 白内障は放っておいても大丈夫ですか?
-
進行の程度や生活への影響によりますが、定期的な検査で状態を把握することが大切です。白内障と思っていたら、実は他の病気になっているかもしれません。
- 手術をしないと失明しますか?
-
多くの場合、命や失明に直結する病気ではありませんが、進行すると生活に支障が出ることがあります。進行してから手術をした場合、視力の回復が不十分になることがあります。
- 白内障は放っておいても大丈夫ですか?
-
進行の程度や生活への影響によりますが、定期的な検査で状態を把握することが大切です。白内障と思っていたら、実は他の病気になっているかもしれません。
- 白内障手術はいつ受けるのがよいですか?
-
見えにくさが日常生活に影響し始めた時期が一つの目安になります。年齢では、65歳くらい以上が良い適応。
- 両目同時に手術を行いますか?
-
通常は片目ずつ行いますが、両目でも行うことはよくあります。選択レンズの種類や度数の設定や通院回数の制限や体調などで両目同時の選択はあり得ます。両目同日の方は、眼帯は使用しませんので、ご安心ください。
- 手術は痛いですか?
-
麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。痛みに弱い方は、前房麻酔や静脈注射も使うことあります。笑気麻酔は使用していません。
- 手術後すぐに見えるようになりますか?
-
多くの方は術後早期に改善を感じますが、安定するまでには個人差があります。
- 入院は必要ですか?
-
当院は入院施設はありませんので、全員日帰り手術です。多くの場合、日帰りでの手術が可能です。出来ない患者さまとしては、子供や幼児など麻酔科による全身麻酔が必要となる患者さまの場合は他施設での入院手術をおすすめしています。
- 白内障手術のあとに気をつけることはありますか?
-
点眼の継続や定期的な受診が大切です。日常生活の注意点については個別にご説明します。
- 他院で白内障と診断されていますが、相談できますか?
-
セカンドオピニオンとしてのご相談も可能です。
白内障でご不安な方へ
白内障と聞くと、「いずれ手術が必要になる病気」と考え、不安を感じる方も多いと思います。特に「目の手術」と聞くと、怖さを感じるのはごく自然なことです。
白内障は、すぐに手術をしなければならない病気ではありません。
一方で、我慢を続けることで見えにくさが積み重なり、生活の質が下がってしまうこともあります。
大切なのは「今の見え方が、ご自身の生活にどのような影響を与えているか」を知ることです。
定期的に検査を受けながら状態を把握し、必要なタイミングで治療を選択することが、安心して日常生活を続けるためにつながります。
当院では、手術に対する不安な気持ちを否定することはありません。
手術中に起こることや、痛みを感じる可能性がある場面については、事前にきちんとお伝えし、「このタイミングで少しチクッとします」と声をかけながら進めます。
あらかじめ説明があることで患者さまは心の準備ができ「思っていたより楽だった」と感じられる方も少なくありません。
不安を一人で抱え込まず、まずは「今の状態を知る」ことから始めてみてください。
くらかず眼科では、患者さま一人ひとりの生活に寄り添いながら、白内障治療を一緒に考えていきます。
■この記事の監修者
埼玉では大宮・見沼を中心に4年半はんがい眼科で新たな地域医療に取り組み、多くの気付きや多くの患者さまとの絆をいただきました。先に学んだ「困っている患者さまと地域に寄り添う」という信念のもと、旧はんがい眼科の地で、くらかず眼科を開院致しました。一方で私のもう一つのライフワークとして、20年前からメーカーと共同で新たな手術器具や手術方法の開発や眼内レンズの研究を行っています。
これまで培った全ての経験を地域の患者さまに還元したいと考えておりますので、これからも当院をどうぞよろしくお願いいたします。
■愛媛大学医学部 卒業
■九州大学心臓外科
■京都大学眼科教室
■公立豊岡病院眼科
■公立豊岡病院眼科所属長
■日高医療センター 眼科センター長
■先端医療センター 再生医療研究部
視覚機能再生研究チーム研究員
■日高医療センター 診療部長
■はんがい眼科 副院長
■医療法人クラルス はんがい眼科 院長




