院長ブログ

今年最後の緊急手術

2022年12月31日

今年は開院1年目でしたが、多くの患者さんや先生方、コメディカルの方々に支えられて、無事に終わることができました。本当に心から感謝しております。

年末のある日、90歳に手の届きそうな高齢者の方の緊急手術をさせていただきました。

数日前より、突然片方の目が見えなくなったと、夕方に当院に駆け込んでこられました。

目の奥に硝子体出血を生じており、目の中の様子が分かりません。こういう時は、出血の量や基礎疾患の有無によっては、原因を突き止める事を第一の目的として、緊急にて出血を取り除く手術をします。

しかし、今回は、かなりの高齢者であること、年末の診療体制などを考え、一瞬手術をするべきか様子を見るべきか悩みました。

この年齢から考えられる原因としては、1、網膜細動脈瘤、2、網膜静脈閉塞症における新生血管からの出血、3、加齢黄斑変性症などが最も疑われます。

網膜剥離は年齢的には考えにくく、エコー検査でも網膜剥離を疑う所見はなかったので、緊急手術の適用はないかとも考えました。

しかし、年末の休みに入る事(休みの間に悪化する恐れあり)、高齢ですがしっかり体が動かれておりお元気そうであったこと、当院の理念の一つである、『見える事を諦めない』と言う考えを元に、患者様とご家族としっかりお話しさせていただき、同意を得られましたので、手術をその日の夜に緊急でさせていただきました。

と言っても、緊急です、患者様も解っていても、恐怖心が強く(元々怖がりだとの事)、本人と家族の希望もあり、静脈麻酔を用いて少し寝ていただきながら手術をいたしました。この麻酔の提案も、短い時間ですが患者さんと接して、患者さんの気持ちや性格をしっかりと読み取ったスタッフからの提案で、その麻酔を実行するために、多くのスタッフが残って協力してくれました。

結果、半側網膜中心静脈閉塞による新生血管からの出血だったと判明しました。

手術も無事終わり、そのまま、お家に帰られ、その日は何事もなく無事ゆっくりと休まれたそうです。これも、スタッフが朝1番に自主的に患者様宅にお電話をしてくれ、私に報告してくれたことでわかりました。

恐らく、このスタッフ自身、患者様の事が気になっていた事は勿論のこと、私が昨晩、帰ってからの患者様の様子が気になっているだろうと予測しての、思いやりからの行動でもあると感じました。スタッフの成長を感じる瞬間でした。

昼過ぎは患者様も来院され、経過も良好で、だいぶ明るくなったと喜んでおられましたし、スタッフも嬉しそうでした。

手術を決断してくださった患者様、ご家族、夜遅くまで、頑張ってくれたスタッフ、正月休みも経過を見てくださる仲間に感謝いたします。お陰で、今年は最後の最後まで充実した日を過ごせました。

来年も、スタッフ一同、みんなで力を合わせて頑張ります。何卒、よろしくお願い申し上げます。

倉員 敏明 院長の独自取材記事

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