2022年7月17日
当院はあまり散瞳検査(目薬で瞳孔を開く検査で、検査後、3から5時間くらい見えづらくなるため自身の運転による車での来院はやめて頂くよう指導する検査)をしないため、術後の患者さまや糖尿病の定期検査などの患者さまの多くは車を運転して通院されています。
時々、他の眼科で検査を受けていた患者さまから「瞳孔開いて目の奥の検査はしなくても良いのですか?必要なら車は置いてきますし、家族に送ってもらうか、バスがタクシーで来ますよ?」と言っていただくことがあります。
私は埼玉に来て、前の理事長が揃えられた最新の機械達を見た時、今後、散瞳検査の必要性は減らせるのではないかと感じ、その日から出来るだけ不必要な散瞳検査をやめ、見落としなどなく診察ができるかトライしてみました。
始めて5年になりますが、ほとんど見落としなどもなく、この5年間で私を含めた医師たちの診断能力や画像を取る技師たちの撮影能力はかなり上達したと思っています。
この能力の向上は手術などにも生かされています。
これが可能な理由は、医師の両眼を用いての立体視に変わりOCTなどの断層撮影の精度の向上、倒像鏡による周辺観察も広角撮影による静止画が登場したこと、我々の圧倒的な数の検査によるデータの蓄積と学習効果によると思っています。
逆に、散瞳検査では見落とすわずかな変化も、これらの無散瞳画像検査を組み合わせることで見つけられるようになってきています。
恐らく、そのうちにやってくるAIによる診断も同じ静止画による画像診断が主になると思いますし、AIもデータの蓄積と学習効果で成り立っていますので目指すところは同じと考えています。
その日までは、出来るだけ患者さまの負担を減らしながら診断精度を上げられればと思っています。
この診断に欠かせないのが、ORTと言われている視能訓練士達です。その中でも、フォトグラファーと言われる技師の存在です。
私が所属した京大にも凄い方がおられました。
このフォトグラファーの活動についてはまた今度お話しさせていただきたいと思っています。
散瞳検査も絶対必要な場合は有りますが、患者さまの半日が潰れてしまう事を考えると、このような機械があるのなら最大限に使って、安全に患者さまの負担を減らせればと思って今後も取り組んでいきます。
くらかず眼科 院長 倉員敏明