2022年9月25日
“緊急手術が必要です”と言われると、誰でも緊張や不安感に支配されてしまいます。
私も外科時代を含め多くの緊急手術を経験してきました。
緊急手術を受けられる患者様の多くは、痛みや苦しさから自身の状況を把握する余裕がないまま手術に突入されます。しかし、全身麻酔にて意識を奪われますので、目が覚めたら手術が終了しており、手術中の不安や苦しみをさ感じないですみます。
眼科で緊急手術が必要な患者様の場合、痛みや苦痛は感じてないにもかかわらず、多くの場合、網膜など中枢神経の機能を出来る限り温存するため、速やかに手術をすることが必要となります。故に、自分が感じている感覚と医師の思う緊急度にズレが生じます。このズレが不安や恐怖が増強させます。時には、医師に対する不信感さえも生じさせてしまいます。
眼科の手術はほとんどが局所麻酔なので、意識があります。故に、不安を抱えてまま手術に臨めば、手術中、不安や恐怖が続いてしまいます。
故に、手術開始までの短い時間で、患者様の心に寄り添う術が必要とされます。これは、なかなか難しい事です。
くらかず眼科も網膜硝子体手術の1/3が緊急手術です。故に、スタッフの努力は並々ならぬものと思います。
今、多くの患者様から術後に感謝のお言葉をいただきます。半分は治られたことに対して、半分はスタッフの患者さまへの寄り添いに対してです。院長としてこんなに嬉しいことはありません。
先日、若い男性が網膜剥離の手術中にパニックを起こされました。急遽、静脈麻酔に変え、少し眠っていただき手術を無事終了することが出来ました。
このような場合、通常、パニック発生の原因を、患者様の性格や素因に結論付けてしまいがちです。しかし、当院では、後日スタッフ間で、なぜ患者様がパニックになられたのか、手術までの手順や患者様とのコミュニケーションの取り方に反省すべき点がなかったか話し合いがあったようです。
患者様のお陰で日々スタッフが成長しているのを感じています。