2023年10月20日
インフォームドコンセントとは、患者様と医療関係者が治療方針を決めるプロセスの事です。一般的には「説明と同意」と訳されます。
インフォームドコンセントでは、医師などの医療の専門家が患者様に丁寧に、
1.治療の内容
2.病気の状態
3.検査
4.処方される薬
などについて十分な説明をします。これは、説明内容をよく理解し、納得した上で同意して患者様が自己決定が出来るようにするた事が目的として行われます。しかし、時間の関係や患者さまの理解度の問題や説明する側の能力の問題などで、十分な説明とならない事が多々あります。
完璧な説明を目指すと言うより、説明というコミュニケーションの時間を持つ事で、最終的に患者様ご本人が“自己決定し治療を受けた事実“を医療行為の結果を超えて受け入れる事が出来る環境を患者様と医療関係者が協力して作る時間をもつことが、最終目標ではないかと考えています。
先日も他院で手術を受けた後、セカンドオピニオンを求めてある患者さまとご家族が来院されました。
術後の経過を診させていただいたところ、明らかに術後の経過に問題がありました。しかし、患者様はその事については全く説明を受けておられず、私の説明で初めて自分の状況を認識されてようで大変驚かれていましたが、自分の状況がわかった事で、ある意味安心もされたようでした。
医療機関は治療を患者様に良くなっていただきたいという善意の思いで行いますが、そうならない事も稀にあります。私は多くの若い医師を指導してきましたが、このような時は必ず真実を話して、患者様や家族と一緒に乗り切るよう指導してきましたし、私もそのように努めて来ました。
医師の中には(経験の浅い若い医師に多い)気が弱かったり、話し上手でないため事実を上手く伝える事が出来ない人もありますが、中には、真実を言うことの必要性を全く感じていない医師も稀にいます。
このような医師が、今回のような不具合を引き起こした場合、患者様の精神的なダメージは2重の苦しみになります。期待していた結果が出なかった苦しみとその医療機関を選択した事への後悔です。患者様はその医師を否定する以上に自分を否定し深く傷つきます。
しっかりしたインフォームドコンセントをする事と患者様やご家族としっかりとコミュニケーションをとることで後者は多くの場合、防いだり取り除けることが出来ると思います。患者様を2重に苦しませない為にも、誠実なインフォームドコンセントが必要だと今回の患者様を診察させていただき、改めて教えていただきました。
多くの先生方は、インフォームドコンセントのな捉え方に違いはあるものの、患者さんに対して誠実に行われていると思います。それでも、もし、医療担当者の姿勢や説明に疑問をお持ちになった場合は、再度説明の機会を設けてもらうか近くの医療機関でセカンドオピニオンを受ける事をお勧めします。
少しでも早くご自身やご家族の心を救ってあげてください。
編著 さいたま市のくらかず眼科 院長 倉員敏明